(A5判227頁/本体2300円送料1冊164円)
「公立学校での「授業研究」の可能性を拓く
田井小学校との共同研究を始めようとしていた時、現校長の赤井悟先生から、「教育現場で授業の『研究』をするとは、何をどのようにすることなのでしょうか」という質問を受けた。これは、文字通り「学校を基礎にしたカリキュラム」を構築するための切実な問いであり、教育研究のあり方に迫る本質的な問いである。そして、この問いに向かって、田井小学校は確かな一歩を踏み出すことになった。
本書は、それこそ全国どこにでもある公立小学校という条件のもとで、「授業研究」のあり方を模索しつつ、着実に「授業研究」の成果を積み上げていった、貴重な実践記録である。その際、もっとも着目したいのは、「授業を研究するということ」は、きわめて刺激的で魅力に溢れた営みであるということである。そのことは、本書の全体に満ちている、「授業研究」に無我夢中に取り組んでいる教師たちの姿によく現れている。
本書が、教育現場で「授業研究」を進めようとしている教師たちや研究者に広く読まれることを期待したい。
推薦のことば
京都大学大学院教育学研究科教授
田中耕治
<内容目次>
第1章 授業研究
第2節 本校の授業研究
第3節 授業の設計
第4節 学習授業案の作成
第5節 研究授業の実施
第6節 研究協議会の開催
第7節 研究報告の作成
第2章 授業研究の視点
第1節 指導言
第2節 理解
第3節 発問
第4節 教材教具
第5節 京都大学大学院教育学研究科教育実践コラボレーション・センターとの連携
第3章 各学年の授業研究
第1節 1年生の授業研究
T授業内容を決めるまでの経緯
U学習授業案
V授業記録
W研究協議会の記録
第2節 2年生の授業研究
第3節 3年生の授業研究
第4節 4年生の授業研究
第5節 5年生の授業研究
第6節 6年生の授業研究
第4章 学力育成のための学習サイクル
第1節 学習サイクル
第2節 寝屋川市学習到達度調査の結果
第3節 寝屋川市学習到達度調査からみた考察
第5章 学力育成を側面から支える活動
第1節 学力育成を支える2つのルーチン
第2節 学校の環境整備
第3節 読書力の育成
第4節 国際コミュニケーション科の実践
第5節 ICT教育の実践
第6節 田井っ子支援会議
第7節 ビオトープの築造
第8節 地域社会の教育力と「田井っ子見守り隊」
第6章 本校教育に基づく教育研究
第1節 小学生のもつ体積の素朴概念
第2節 算数作問のしかたを教えるには
第3節 疑問点を考えながら解法の発表を聴くことの効果
第7章 寝屋川市立田井小学校の概要