(四六判226 頁/税込価格1995 円送料1冊160円)
幼児や小学生の世界に異変とでも言うべき事態が進行している
遊びの根幹であるルールをめぐって、異変は起きている。遊びグルー
プのなかで比較的に力の強い子どもが、自分の負けがはっきりする直
前に、負けないようにルールを勝手に変更してしまう。…遊びは崩
壊していく。他方、種々の発達障害の疑いのある幼児たちも独特な
形で「遊びにくさ」のなかにある。現代の子どもの遊びに見られる「負」
の部分に光をあてて、その状態を説明し、そこから脱出することの
できる遊び理論とはどのようなものか、を明らかにする。
<内容目次>
第1章 勝ち負けを遊べない子ども オニごっこが続かない 負けるのが怖い 「勝ち負け」を遊べない
勝つことにこだわる 大人の介入 消える「ごっこ遊び」 社会性と集団遊び 早期教育 子どものス
トレス 受験戦争 子どもの心、親知らず 心の中の原風景
第2章 幼児のトラブルと人間関係─「荒れ」からの恢復と《イメージの遊び》の可能性 子どもの遊びをめぐる二つのモメント 子どもの遊び
と「荒れ」 イメージの遊びによる「荒れ」からの恢復の姿
第3章 「発達障害」のある幼児と《イメー
ジの遊び》─一年間の保育の流れのなかで 1 戸惑いの四月 2 模索の保育 3 晩秋の保育 4
劇遊び(三学期)
第4章 遊びにおけるイメージとルールのパラドックス 本質への手がかりとして
のパラドックス 1 遊びのパラドックス 表裏をなすイメージとルール 遊びのルールに関するピア
ジェとヴィゴツキー 遊びのルールの獲得・実行とルール意識の四段階(ピアジェ)道徳実在論 ピアジェ
とデュルケーム ルールの変更を受け入れる幼児の論理 ヴィゴツキーにおける遊びのルールと生活の
ルール 二羽のカナリアの唄
第5章 ヴィゴツキー=スピノザ遊び理論の原理的考察 イメージの遊
び 成熟しつつある過程 ルール 欲求・情動と〈内的ルール〉 最大の抵抗路線 最近接発達領域
(著者紹介)神谷栄司(京都橘大学人間発達学部教授、博士(人間文化学)(著書) 『未完のヴィゴツキー理論』(三学出版))
麻生奈央子(お茶の水女子大学大学院博士後期課程、ライター)、代田盛一郎(大阪健康福祉短期大学専任講師)、
路端さゆり(幼稚園教諭)、堀村志をり(東京大学大学院博士後期課程)