情動の理論  

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ヴィゴツキー著《最後の手稿》
神谷栄司・土井捷三・伊藤美和子・
竹内伸宜・西本有逸訳

情動の理論
―心身をめぐるデカルト、スピノザとの対話―

(A5判387頁/税込価格3360円)

もう一つのヴィゴツキー
本書を読んでみると『思考と言語』の視点からは捉えきれない情動論――心身問題を基礎にした情動論――が展開されていることに気づく。……『思考と言語』のヴィゴツキーとは異なる相貌を持つもうひとつのヴィゴツキーであり、より正確には、前者のヴィゴツキーとまだ明確な関連づけを明示していないもうひとつのヴィゴツキーなのである(あとがきより)。

<内容目次> 

第1章 〔身体と情動――ジェームズ―ランゲ説とスピノザの定義〕

第2章 〔生き続ける身体情動理論とキャノンの実験研究〕

第3章 〔実験的事実による身体情動理論の批判〕

第4章 〔身体反応なしに発生する情動――シェリントン、キャノンの動物実験〕

第5章 〔動物実験から人間の臨床研究への移行の必要性――逆定理の証明〕

第6章 〔病理学的臨床研究と情動理論の転換〕 

第7章 〔キャノンらの情動理論と哲学の不足――方法論的問題〕 

第8章 〔視床情動理論――視床とそれへの大脳皮質のコントロール〕 

第9章 〔身体情動理論の総括的批判――視床と大脳皮質の相互作用〕 

第10章 〔カルテジアンとしてのスピノザという虚構〕 

第11章 〔ジェームズ―ランゲ説とデカルト哲学〕

第12章 〔デカルト情念論の諸矛盾〕〔T デカルト生理学における情念〕〔U 事実的不毛性――発見されえぬ情動の身体的原因〕〔V 身体情動理論――発達論を欠落させる反歴史主義〕〔W プリンスの情動エネルギー理論のデカルト的本質〕〔X デカルトの矛盾――つまずきの石としての情念論〕 

第13章 〔デカルトにおける自由意志と情念〕

第14章 〔情念の没意味性――デカルトにおける情念と思考〕 

第15章 〔デカルト情念論の基礎としての心身平行論〕

第16章 〔知性的情動と感性的情動の分裂と人間の心理学〕

第17章 〔発達論なき臓器情動理論〕

第18章 〔低次の情動と高次の情動――その統一的把握〕

第19章 〔説明心理学と記述心理学――情動の因果的説明をめぐって〕

第20章 〔ベルグソンと自然主義情動理論〕


【訳者紹介】
    神谷栄司(佛教大学教授)土井捷三(園田学園女子大学教授・神戸大学名誉教授) 伊藤美和子(大阪外国語大学非常勤講師)竹内伸宜(神戸海星女子学院大学助教授)西本有逸(京都教育大学助教授)。